「10月から時給が上がるって聞いたけど、自分も対象?」
「派遣のルールが変わるらしいけど、何が変わるの?」
2026年10月から、最低賃金の引き上げや派遣労働者の待遇に関するルール改正が始まります。
注目したいのは、「最低賃金の引き上げ」と「派遣労働者の同一労働同一賃金に関するルール改正」の2つです。
特にアルバイトやパート、派遣社員として働いている人にとっては、給与や待遇に直接関係する可能性があります。
今回は、2026年10月から何が変わるのか、働く人の目線でわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 2026年度の最低賃金の改定額と、適用される時期
- 派遣社員に適用される最低賃金の考え方
- 同一労働同一賃金に関する改正のポイント
- 自分の給与や待遇について確認したいこと
2026年度の最低賃金、全国加重平均は1,177円へ
厚生労働省によると、2026年度の地域別最低賃金について、47都道府県すべての地方最低賃金審議会から改定額が答申されました。
答申ベースでの全国加重平均は時給1,177円。2025年度の1,121円から、56円の引き上げとなります。
この引き上げ額は、最低賃金の目安制度が始まった1978年度以降で2番目の大きさです。
最低賃金は、アルバイトやパートだけの制度ではありません
最低賃金というと、「正社員にはあまり関係ない」「アルバイトだけの話」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、地域別最低賃金は、原則として雇用形態や呼び方にかかわらず、その地域で働くすべての労働者に適用されます。
正社員はもちろん、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員なども対象です。
働いている人なら、一度は自分に適用される最低賃金をチェックしておきたい制度です。
神奈川県は1,225円から1,279円へ
例えば神奈川県では、2026年10月1日から最低賃金が次のように引き上げられます。
| 項目 | 金額・日付 |
|---|---|
| 改定前の最低賃金 | 時給1,225円 |
| 改定後の最低賃金 | 時給1,279円 |
| 引き上げ額 | 1時間あたり54円 |
| 発効日 | 2026年10月1日 |
「54円なら、それほど大きくないのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、時給が54円上がり、仮に1日8時間、月20日働いた場合、次のような差になります。
勤務時間が同じ場合の計算例
54円 × 8時間 × 20日 = 月8,640円
同じ条件で12カ月働いた場合は、年間103,680円の差になります。
※税金や社会保険料などを差し引く前の、単純計算です。
最低賃金に近い時給で働いている人にとって、給与を確認するきっかけになる改定です。
ただし、すでに改定後の最低賃金以上の給与を受け取っている人も、一律に54円昇給するという意味ではありません。 自分の給与がどう変わるかは、勤務先に確認しましょう。
全国一斉に10月1日から変わるわけではありません
ここで一つ、確認しておきたいポイントがあります。
2026年度の最低賃金は、全国すべての地域で10月1日に一斉に変わるわけではありません。
厚生労働省がまとめた答申では、2026年10月1日から12月2日までの間に、順次発効する予定とされています。
地域によってスタートする日が異なるため、金額と日付をセットで確認しましょう。
最低賃金を確認するときのポイント
- 自分に適用される都道府県の最低賃金はいくらか
- 改定後の金額は、いつから適用されるか
派遣社員の最低賃金は「派遣先」が基準
派遣社員の場合、最低賃金について確認しておきたいルールがあります。
例えば、次のようなケースです。
神奈川県の派遣会社に登録して、東京都の会社で働いている場合
適用されるのは、派遣先の事業場がある東京都の最低賃金です。
厚生労働省は、派遣労働者には、派遣元の所在地にかかわらず、派遣先の事業場に適用される最低賃金が適用されると説明しています。
派遣で働いている人は、「登録している派遣会社がどこにあるか」ではなく、「自分がどこで働いているか」を確認してみてください。
もう一つの変更|派遣の「同一労働同一賃金」に関するルール改正
2026年10月1日から、派遣で働く人に関係するもう一つの変更があります。
それが、派遣労働者の「同一労働同一賃金」に関するルールの改正です。
そもそも「同一労働同一賃金」とは?
同一労働同一賃金とは、雇用形態が違うことだけを理由として、不合理な待遇差が生まれないようにする考え方です。
派遣労働者については、現在も次のいずれかの方法によって、待遇を確保することが求められています。
| 待遇を決める方法 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 派遣先均等・均衡方式 | 派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を確保する方法 |
| 労使協定方式 | 一定の要件を満たした労使協定に基づいて待遇を決める方法 |
労使協定方式では、賃金について、同種の業務に同じ地域で従事する一般労働者の平均賃金と同等以上にすることなどが必要です。
10月からは「説明を求められること」の明示が必要に
今回の改正で、働く人に知っておいてほしいのが、自分の待遇について説明を求められる権利があることを、派遣会社が明示するようになる点です。
2026年10月1日以降、派遣会社は、派遣労働者として雇い入れようとするときや、派遣しようとするときに、あらかじめ待遇の違いの内容や理由などについて説明を求められることを明示する必要があります。
これにより、自分の給与や待遇がどのような基準で決められているのか、確認する機会があることを知りやすくなります。
例えば、次のような疑問があるときは、派遣会社に確認してみましょう。
- 自分の時給は、どのような基準で決まっているのか
- 自分の待遇には、どちらの方式が適用されているのか
- 経験や能力、評価は、給与や昇給にどう反映されるのか
説明を求める権利は、以前からあります
今回の改正は、10月から初めて説明を求められるようになるものではありません。
その権利があることを、雇入れ時・派遣時に明示するルールが追加されます。
なお、派遣労働者が説明を求めたことを理由として、派遣会社が解雇などの不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
派遣社員全員の給与が、一斉に上がる制度ではありません
ここは、誤解しやすいポイントです。
今回の改正によって、「10月1日から派遣社員全員の時給が上がる」というわけではありません。
また、「似た仕事をしていれば、正社員と派遣社員の給与を必ず同じ金額にする」という単純な制度でもありません。
待遇の決定方法や、仕事内容、責任の範囲などに応じて、確認すべき基準は異なります。
まずは、自分の待遇にどの方式が適用され、どのような基準で決められているのかを確認することが大切です。
求人を見るときは「時給+その先」も確認しよう
給与は、仕事を選ぶうえで大切な条件の一つです。
そのうえで、これからの働き方も考えたい人は、時給とあわせて次の点を確認してみましょう。
仕事選びで確認したい5つのポイント
-
昇給の仕組み
どのような評価や条件で給与が上がるか -
身につくスキル
日々の業務を通じて何を経験できるか -
教育・研修
未経験から学べる制度やサポートがあるか -
雇用形態の選択肢
希望する場合、正社員登用などの制度があるか -
次につながる経験
自分が希望する仕事に活かせる経験を積めるか
もちろん、今の生活を支える給与や、無理なく働ける勤務時間を優先する選び方もあります。
自分が今、大切にしたい条件は何か。
その仕事を通じて、どのような経験を積みたいか。
両方を整理すると、自分に合う求人を比較しやすくなります。
まとめ|10月を機に、自分の給与と待遇を確認してみよう
2026年10月以降、全国の最低賃金は順次引き上げられます。また、派遣労働者についても、待遇の違いについて説明を求められることを明示するルールが始まります。
今回の制度変更をきっかけに、まずは次の3つを確認してみましょう。
まず確認したいこと
- 自分に適用される最低賃金と発効日
- 雇用契約書や給与明細に記載された給与
- 派遣で働く場合は、待遇の決定方式とその基準
自分の給与や待遇について知ることは、これからの働き方を考えるうえでも大切です。
今の仕事や待遇を一度見直し、自分に合った働き方を考えるきっかけにしてみてください。
※本記事は、2026年9月25日時点で公表されている厚生労働省・各労働局の情報をもとに作成しています。